地球という球体(厳密には回転楕円体)から、その一地表面を表す地形図を表すことは大変な作業であることは容易に想像できるでしょう。まず考えられるのが、回転楕円体とされる地球の大きさを正確に把握すること。昔なら気が遠くなりそうな作業ですが、今の時代には人工衛星を使ったGPS等有効なツールがあり、実際かなりの精度で地球の実態が把握されてきていると言われています。となれば次に解決しなければいけないのが、球面を平面へ展開していく技術(地図投影)と言えるでしょう。結論から言うと、球面を距離、角度及び面積のいずれをもひずみなく平面に展開できる方法はありません。単純な例を挙げれば、むいたミカンの皮はどうやっても平面にはならないことは経験則としてわかっている事実です。そこで何とか実際に近い作図法はないかと考え出されたのが、地球上の特定の2点間距離を正確に反映された「正距図法」であり、面積比率を正確に表現できるようにした「正積図法」、そして角度を地球上の2方路の角度と地図上の角度を正確に合わせた「正角図法」の3種類があります。しかしこれら3図法とも限定的な正確さでしか実現されません。さらに対象エリアを大きくしていくとその正確性も崩れていってしまいます。そのためいろいろな図法が提案されており、そのなかで現在発行されている25,000/1地形図に採用されているのがUTM(ユニバーサル横メルカトル)図法と呼ばれているものです。これはまず子午線を基準線とするもので「メルカトル図法」と言われる赤道を基準とした南北円筒状の曲面に投影した図法と同類となるもので、南極と北極間を結ぶ子午線に接する円筒状曲面に投影させたときの図に近く、25,000/1地形図1枚のエリアが、緯度では5分、経度で7.5分に相当する不等辺4角形となるとされ、これを東西南北につなぎ合わせていけば回転楕円体となる地球が再現できるとされるもので、現在各種提案されている図法の中から選定されたものと言われています。